後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第10章 それだけの関係
さっき飲んだばかりのペットボトルの蓋を開け、中のお茶を一気に飲みほす。
すぐに葉川くんがコンビニの駐車場に車を止めたので、空になったペットボトルを手に私はドアを開けた。
「わざわざ悪いわね。5分したら戻るわ」
彼のほうを見ずにそう告げて、外に出た私はコンビニに入った。
出入口の横にあるゴミ箱にペットボトルを捨て、とくに目的もないけれど店内を進む。
すると暇そうにレジで立っていた外国人の店員が「いらっしゃいませ」と気の抜けた声をかけてきた。
ふらふらしていたら不審がられる。
私は店員から遠ざかろうと、レジの反対側にあるドリンクコーナーに向かった。
“ 私ったら、情けない…わよね ”
お茶を買ってもよかったのだが、ほとんど無意識に手に取っていたのは缶コーヒーだった。
自分にとっては定番の…
いつもの、ブラック。
それすらも自身を落ち着かせるための小細工のように感じて、そんな自分が情けなくて笑いたくなる。