後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第12章 変われない
変わってないのね…。
「あとでホルモン焼きそばも頼んでいーか?」
「あ……ええ、どうぞ」
しばらく悩んでいた啓輔は、飲み物と枝豆が届いたと同時にメニューを閉じた。
テーブルの横にそれを立て掛けて、代わりにジョッキを掴む。
「──…っ」
「…?」
「…お前、覚えてたのか。俺がいつも飲み屋ではハイボールだってこと」
「…ッ…それは、まぁ、忘れるほど昔のことでもないから」
その時になって私が注文した二人ぶんの飲み物がハイボールだったことに気付いた彼は、意外そうにまじまじと私を見て…小さく呟いた。
声色が変わり
真面目な表情になっている。
「それより飲んでいい?喉が渇いてるの」
「…そうだな」
私はそんな彼の変化をシカトしてジョッキを傾け、疲れて渇いた身体にアルコールを注ぎ込んだ。
ハイボールの冷たさと炭酸の刺激で、いい具合に食欲が出てきた。