後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第12章 変われない
その流れで食事になるのは…付き合っている男女ならごく当たり前のことだけど、私たちは違う。
私は彼にフラれているのに。
“ ……もしかして、あれかしら。別れた後も良い友人でいようっていう……”
そういう関係も世の中にはあるのかしらね。
確かにもともと付き合っていたんだから、お互いのことは理解できている。
気の置けない友人になるにはちょうどいいってこと?
…なんにせよ
私はあまり、そういう繋がりは好きじゃない。
「──…で、お前のほうは?」
「私は今までどおりよ。藤堂さんは相変わらずだし」
「あの人ってこの業界じゃあ有名なのにな。ハウスメーカー勤務の俺でも知ってるし…。まさか藤堂事務所の実態がそれほどブラックだとは」
「ブラック……。ああそうねブラックよね」
「まだ人手が足りてないのか?」
「とても足りているとは──…ただこの春から新人が入ったから、だいぶ楽になったわ」