後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第12章 変われない
「新人?」
「優秀な子だから助かってる」
「──…それ、もしかして昼間の…?」
「……っ」
半分に切られた肉厚なコロッケを取った啓輔の箸が、口に届く寸前で止まった。
そうか…。
啓輔と葉川くんはすでに会っているんだ。
今日の打ち合わせの帰り。立ち寄ったコンビニで。
“ って、どんな会い方してたんだっけ… ”
二人の接点を冷静に思い返す…と
それはあまりに一瞬の出来事だったに違いない。
“ そうか…、私は啓輔の目の前で、葉川くんに連れ戻されたんだったわね ”
啓輔から見たら
連れ戻したというより連れ去ったと言うべきか。はたまた拉致したと言うべきか。
あの時の啓輔は何も言えずに固まっていたし。