後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第12章 変われない
“ 私は今、悲しいのか…… ”
詳しい理由なんて知らないけれど、それだけが確かで。
悲しむ権利なんて…私にはないのに。
“ そう…、悲しいのね ”
「──…葉川くん」
私は顔を俯かせ、彼のシャツをシワがよるまで強く握った。
そうしておきながら「離して」と告げた。
噛み合わないその行為は、私の頭の中がぐちゃぐちゃに散らかっている表れだ。
「先輩…」
「何も聞かないで」
そう。今は君の詮索なんていらないの。
ただ──ひとつだけ
「──シて」
「……!」
「何も聞かなくていいから……今すぐ、シて」
現実がこれほど悲しいなら……
今夜はもう、考えることを放棄したい。
そのために私は──不毛な世界に身をオトス。
君にならいとも簡単なことでしょう?
だからお願い、葉川くん──…。
──