後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第13章 僕は玩具
だから私はその外面の良さにつけこむことにした。
「…困りましたね。先輩がいきなり、僕に惚れたとも思えませんし」
「いいから…っ」
「──…!」
それでもなかなかイエスと言わない葉川くんは、恐らく私を試していた。
だから私は手っ取り早く──
彼の、衿を掴んで
「先輩……っ」
強引に引き寄せて、唇を奪った。
周りの目なんて、今さら気にしていられない。
ちゃちゃを入れてくる若者の声が後ろからするがどうでもいい。
私たちを指差して交わされるひそひそ話も
飲み屋街から届くサラリーマンの大笑いも
電車が駅に到着した音が高架線からここまで響いて、そういった雑音を数秒の間消し去った。