後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第13章 僕は玩具
唇が離れて…私たちは互いの顔を見る。
今度こそしっかりと目が合った筈だけれど、周りが暗いから彼の瞳が霞んでいた。
駅前の照明による逆光の効果で、髪の毛の輪郭だけが一本一本まで鮮鋭に見える。
至近距離でこちらを見下ろす彼から
どこか──冷たい視線を感じたけれど
今さら、たじろぐわけにいかない。
....フ
「据え膳食わぬは、なんとやら……」
「……」
「…行きましょうか」
高架の上の電車が、プラットホームから今度は発車したようだ。
再び周囲の雑音が掻き消された時、葉川くんは私の腰に手を回して立ち上がった。
立つと同時に私にスマホを手渡す。
アスファルトに叩きつけられるのをまぬがれたそれを、私は胸の前で強く握って…ポケットに収めた。
──