後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第13章 僕は玩具
唇を隠した私の反応を見て
…その意味するところを察したのだろう。葉川くんは口の端を歪めて笑った。
耳孔から舌を抜いて、耳朶の後ろをひと舐めしてから腰を屈める。
「……!?」
屈んだ彼は、私の膝の裏に腕をいれ
背中にも手を添えてきたかと思ったら、あっと声を挙げる間もなく私を抱きかかえたのだ。
力が抜けていた私は彼の腕におさまり…荒い呼吸を続けながら、相手の表情を見る。
葉川くんのその顔からは、好青年という皮の下──普段は隠しているつもりなのかもしれないが、黒い本性が露骨に出ていた。
淫靡で赤っぽい天井の証明を背景に、妖しさを滲ませた影を落とし込んで──。
「今夜はキスをしませんよ」
彼は私をベッドまで運ぶ。
足首にかろうじて引っ掛かっていたズボンが落ちて床に取り残された。
「…っ、う」
そしてベッドの上に放られる。
クッション性のある厚い布団に横たえられた私は、ぬぐえない不安を抱えて彼の顔に惹き付けられている。
「……」
「今夜の僕は──…先輩を感じさせるための玩具」
「…オモ チャ…!?」
「はい」
彼はこちらを見下ろしていた。
ネクタイすらもほどかない、きっちりとした服装のまま。