後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第14章 消去と諦め
そして狙いどおり、昨夜の私に感傷的になる暇は与えられることなく…
ただ馬鹿げた自分への反省だけが残って、今に至る。
“ …これで良かったのよね? ”
葉川くんの前で涙を流した昨夜とは違う、冷静な自分をなんとか取り戻したのだ。
テーブルの上にいつの間にか置かれていた私の鞄からスマホを取り出して仕事のメールが来ていないことを確認してから、私はアドレス帳を開いた。
そこに登録された無数の名前の中から、あるひとつをタップする。
“ 啓輔── ”
画面に出てきたのは啓輔の電話番号とメールアドレス。
LINEは昨夜のうちにブロックしているから、これが唯一とも言える連絡手段。
ソファの横に立ったまま私はしばらくその画面を見つめた。