テキストサイズ

後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~

第14章 消去と諦め


それを、背後の葉川くんに見えるように掲げた。

「元カレの連絡先よ。…ほら、昨日の打ち合わせの帰りにコンビニで会った人」

彼に背中を向けたこの立ち位置。どんな顔をすればいいかわからないからちょうどいい。


「昨夜ね、また会ったから食事をした」

「元の男とですか」

「私だって迷ったけれど、成り行きで…。その時に改めて別れを告げた。後腐れなく終わったわ」


正確には、別れた後にLINEでだけれど

そこまで詳しく話す理由もないし、葉川くんが興味あるとも思わない。


《 連絡先を消去しますか 》


それに葉川くんほど察しがよければ、無駄な情報を言わずともこの画面だけで理解可能だろうから。




「…それで?」

「……」

「消さないんですか」

「今から消すのよ」


ほら、予想どおり。

もはや教える前から知っていたのではと疑うくらいに葉川くんは冷静で、すぐに状況を把握した。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ