後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第15章 ドレスコード
まだ正式に付き合っているわけではないみたいだけど、明後日に約束があるなら相手の男も脈ありってことかしら。
それなら穂花の邪魔はできない。
彼女は恋愛に真剣なのだから、こんなパーティーでチャンスを潰すのは可哀想ね。
「…わかりました。私が行きます」
どうせ私に、穂花みたいな用事はないし。
「参加してくれるか?」
「いいですよ。何時からですか?」
「8時だそうだ」
「なら事務所を7時に出れば丁度いいですね」
話しながらスケジュール帳を開く。
明後日の夜。支障はない。翌日の朝に打ち合わせもない。
「ああそうだ、服装のことだが」
私が同伴を引き受けて安心した様子の藤堂さんは、自分のデスクに戻る途中で振り返った。
「いつもの竣工式とは違うからな。くれぐれもスーツで来ないでくれよ」
「わかっています」
「頼んだぞ立花! いゃあ、助かる」
一件落着。
藤堂さんは葉川くんの横に行き、途切れていた話を再開させていた。