後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第15章 ドレスコード
「いや、何が気になるというわけでもないが」
「……?」
「俺はお前たちの仲について詳しくないし…な」
「だったら…」
だったらさっきの質問はどういう意味なのか
全く説明がつかないけれど、藤堂さんは私から目をそらしてしまった。
” 結局どこまで知ってるのよ…!! “
あまり深くまで聞くのも怖いし、腑に落ちないところがあっても私から問い詰められない。
仕方ないので私も皿に置いていたナイフを持ち直した。
食べかけだったフィレ肉の包み焼きをひとくち大に切って、カリッと芳ばしいパイ生地を奥の歯で噛んだ。
「とにかくだな、立花。き…気を付けろよ」
「……」
パイには肉汁も染み込んでいて、噛んだと同時に旨味が広がる。
内側のフィレ肉と歯触りの対比が面白く、それでいて絶妙な一体感で美味だった。
不可解な藤堂さんの言葉のせいでシワが寄りそうな眉間だが、この料理のおかげで何とか正常な間隔を保っていた──。
──
だが
今ばかりは思いっきり、しかめ面。