後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第15章 ドレスコード
「ほんっと信じられないこの上司…っ」
足元のおぼつかない藤堂さんの手を引き
私は彼を連れて同ホテルの一室に入っていた。
入り口でカードキーを指すと部屋の電気が点く。
相変わらずセンスの良い色味の部屋だが、感心している気分じゃない。
ソファに藤堂さんを座らせて、大きく溜め息をついた。
「すまん……立花」
「酒に強くないくせに、どうして加減ができなかったんですか…!!」
「ん、…ああ、そんなに飲んだ自覚がなかった」
私も酒に強くないが、藤堂さんはその見た目に反してビール一杯でも酔える男だ。
なのに…
メインデッシュからデザートにかけての藤堂さんは、私の視線から逃れるように次々にグラスを空け、しっかりと許容量をオーバーしてきた。
…で、酔っぱらいの出来上がりよ。
「…水、必要ですか」
「…たのむ」
事前にホテル側から、オープン前の部屋に宿泊できるよう手配されていたからよかったものの、ね。