後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第16章 汗と横顔
どんな理由であれ、はた迷惑な話よ。
──
「ハァっ……ハァっ……あつ──…ッ」
1周目を終えて、芝生に座って少しの休憩。
ここのコースは最後の上り坂が殺人級で、残った体力を全てもっていかれる。
なのに……あと2周残ってるのよね。
ああ、帰りたい。
せめて涼しければいいのだけれど、あいにくの晴天。
梅雨が終わったこの季節、灼熱の太陽が容赦なく照りつけていた。
「先輩、生きてますか?」
「…ん、ああ、…っ…おかえり…!」
さっと頭上が影になり、座る私の横に葉川くんが立っていた。
すでに2周目を終えた彼はドサリと地面に腰を下ろし、ペットボトルで水を飲み始める。