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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~

第19章 優先席は彼の席


聞き覚えのある声に振り返ると、レジ横に立つ葉川くんが私を見つけて微笑んだ。

…もう一度言うと、私がLINEを送信して五秒後の出来事だ。

少し怖いから顔がひきつる。


葉川くんはそんなの気に留めずに悠々とこちらに近付いて、さっきまで穂花が座っていた向かいの席に腰を下ろした。


「先輩は注文済みですか?」

「……」

「ここで珈琲を飲むことはありますがランチは初めてです。和カフェというコンセプトが面白いですよね」


メニュー表を手にしつつ、無言の私をはぐらかす彼は、驚いている私を見て楽しんでいるんだ。

その証拠に目が輝いていた。悪戯少年よろしく。


「……君って超能力でも使うの? テレポートとか」

「フッ、先輩でも冗談とか言うんですね」

「だったらこの状況を説明しなさい」

「順を追って?」

「端的に、わかりやすくね」


まるでプレゼン指導をするかのように私が言うと、葉川くんは数秒で言葉をまとめ、さらさらと説明を始めた。


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