後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第19章 優先席は彼の席
「事務所に戻る途中、この店に入る先輩方を見かけました」
「……」
「なので先輩にLINEをしました。お昼をご一緒しませんか、と」
「断られるのを承知で?」
「そうなりますね」
「理解できない…。断られるために誘うなんて、君ってやっぱりM体質なんじゃない?」
「それに関しては否定済みですよね。僕は相手を攻略したいタイプの男なので」
「はいはい」
現に、攻略された女がここにいるわけでして。
穂花に教えてあげたい。葉川くんは私の対応ひとつで不安に駆られるような…そんな繊細な心を持っている男じゃないと。
私は彼からメニューを奪い取り、最初のページにあった料理を適当に選んで返した。
「私はこのサラダランチにするから、君もさっさと決めて。注文するわよ」
「なら僕もそれで」
「…いいの? こっちのヒレカツプレートのほうがボリュームありそうだけど」
線が細いと言っても男の子なんだから、サラダランチで満足できるとは思えない。
別の料理を薦めると、葉川くんは首を横に振る。