後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第19章 優先席は彼の席
真っ昼間のカフェで、周りに人がたくさんいるのに、なんて事を口走るの!?
怒鳴ってやりたいけれど、そうする訳にもいかず
私は声を潜めて彼を怒った。
「焦る先輩も本当に可愛いです」
「…っ…馬鹿ね、私なんかより君のほうが可愛いわ」
「…フフ、それ、説教になってませんけど」
「うるさいっ! 黙りなさい」
感情的に怒りつつ、周囲に迷惑をかけないように声は小さめ。我ながら器用な事をしている。
テーブルに身を乗り出して
声が届くよう葉川くんに顔を近付けたら…
そっと、彼の手が私の頬に添えられた。
「──…!?」
「そんなに赤くなった顔で迫られたら……キス、したくなります」
「…っ」
公衆の面前で──っ
イヤよ、ぜったい
私は瞬時に身を引いた。
葉川くんは少しがっかりした様子で、宙に残された手をテーブルの上に戻す。
危機を回避したばかり。静かになった私を見ながら彼は先ほどの話を続けた。