後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第20章 貴女が涙を流すなら
“ あれ…? 二人がいないわね ”
さっきまでそこで仕事をしていた葉川くんと藤堂さんの姿が見えない。
帰ったとは思えないし…
電気は点いているから、まだ誰かは残っているんだろうけれど。
少し気になったけれど、それほど深くも悩まず
私は奥のシャワールームまでタオルを取りに向かった。
すると
「──…で、君たちは本当に付き合っているんだな」
「……?」
シャワールームの戸の前で、私は藤堂さんの声を聞いた。
藤堂さんの話し相手は私じゃなかった。
斜め奥の部屋──ミニキッチンがある給湯室で、私以外の誰かと話している。