後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第20章 貴女が涙を流すなら
「──…何と言われようと、この賭けは」
「……」
「僕の勝ちです」
....
この " 賭け " ──?
「──…ッ」
何を言っているの、この二人は
いったい何の、話をして──
ガタ...!
「─ッ…誰かいるのか?」
「…っ」
「た、立花!? 戻っていたのか…!?」
マグカップを片手に給湯室から現れた藤堂さんが、私を見付けて動揺する。
私は目も合わせずに逃げた。
勢いに任せて事務所の外に飛び出すと、ドアに付いた呼び鈴が大きく鳴った。
乱暴にドアを閉める──
そんな私を呼び止める声は無かった。