後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第20章 貴女が涙を流すなら
周囲の目をはばからずに顔を上げて歩けるのは雨のおかげ。
でも私を事務所に引き返らせたのも雨だから…とても感謝なんてできそうになかった。
『 今さら焦ったところで手遅れですよ 』
“ 私は賭けのために利用されていたの……!? ”
何故、藤堂さんが焦るのか
私たちが付き合う事とどんな関係があるのか
いったい何が手遅れなのか
二人が交わした " 約束 " って?
私は何も知らないし、知りたくも──ない。
これ以上
葉川くんの事で傷付きたくないのよ──。
「待って下さい」
「──…ッ」
こんなに怖いのは、こりごりなのよ。