後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第21章 終章~この身勝手な小悪魔と~
「実績も人脈も、お前はこの六年間で十分に培って( ツチカッテ )きただろう?」
「…っ…そうかもしれません」
「スケジュール管理ができない俺の元で、馬車馬のように働いてきた筈だ」
「──…それはその通りです」
まっとうな事を言われている。
藤堂さんは可笑しな提案をしているわけじゃない。
本来、個人のアトリエ事務所で働く建築家は、将来の独立を見据えている者がほとんどだ。
私だって昔は…そのつもりで働いていた。
でもいつの間にか忙しさを言い訳にして、これ以上の挑戦を放棄していた自分がいる。
「けれど何故──…" 今 " なんですか?」
「……あ、ああ、それはだな」
「……」
「葉川くんなんだ」
「葉川くん…!?」
どういうこと…?
私が強い動揺を見せたのを、藤堂さんはしっかりと見ていた。