後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第21章 終章~この身勝手な小悪魔と~
財布を事務所に忘れたせいで昼食を買いにもいけず、蒸し暑い道端で立ち往生している建築家、藤堂 隆英。
スマホを持つ手を下ろし、日影を探して歩きだす。
「藤堂先生? 何してるんですか?」
そこに事務担当の佐々並 穂花が、近くのベーカリーで調達してきたサンドイッチを持って戻ってきた。
「季里さんとの話はすみました?」
「あ、ああ…。立花は今、葉川くんと事務所にいる」
「えっ、葉川くんと?」
藤堂からそう教えられて、事務所への足を止めた穂花。
そして…さえない表情の藤堂をまじまじと見つめ、察しのいい穂花は気を遣って笑った。
「元気だしましょーよ先生。いちおうわたしは、結婚しても寿退社するつもりはないですよー?」
「あー……そりゃあ、ありがたいな…」
「今からどこかお店に寄ります? あ、そうだ、コンペ優勝のお祝いに二人に何かサプライズしませんか? それの計画を練りましょう!」
立ち往生している藤堂を引っ張って、近場の店を探す。
今の藤堂の元気のなさが、単に来春からの事務所の経営を心配してのことなのか…、もしくは、別の理由があるのか…
さすがの穂花でも、決めつけることができないが。
後輩くんの挑戦状~僕に惚れてもらいます~(完)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄