後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第21章 終章~この身勝手な小悪魔と~
「気になるなら出てください」
「……」
「僕に集中できなかったぶんは…後できっちり、精算するので」
「…フ」
RRRRRRR....
まだ止まない
「──…出なくていいわ」
そんな呼び出し音を鬱陶しく思いながら、私は小さな声で答えた。
すると首筋に顔をうめた葉川くんが笑ったような気がした。
直接見えるわけじゃないから、本当に " 気がした " だけにすぎないけれど。
今はとにかく、私を抱く彼の腕が心地好くて
藤堂さんや穂花がいつ戻ってきてもおかしくないのに、それすらどうでもよくなってしまった。
動く気にならない。
「………悪魔」
「何か言いました?」
「…いいえ、気にしないで」
私はいつから、仕事中に私情をはさむような人間に変わったのだろう。
…いや、変わったのではなくて " 変えられた "。
わがままで身勝手な小悪魔に影響されて…
自分の欲に素直になることを、少しずつ覚えてきたみたい。
「気にしないで…──」
責任はとらせるわ。
これは君のせいだものね? 葉川くん。
この甘ったるくてどこか気怠い昼中( ヒルナカ )は、私が君を愛したせいよ───。
──
RRRRRRR...
「──出ない、か…」
ピッ
「…ったく、今ごろ二人で何やってんだか。まだ事務所には戻れんな」
ハァー…
「年寄りをいたわらない奴らだなぁ」