後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第4章 誘惑のドライブ
なんなのかしらホント。
「もしかして車内で沈黙が苦手なタイプ? 音楽かラジオを流しましょうか」
「いいえお気遣いなく。僕は先輩と話がしたいだけなので」
「……本当に知りたいの? 私がSなのかどうか」
「はい、すごく」
口調は礼儀正しいくせに、言ってる内容でゼンブ台無し。
車内という密室空間でありながら私を怒らせようとしているとしか思えない。
「ふざけないで」とここで怒ったら彼の思うつぼ……だから
けっこう必死に自分の感情を抑えた。
「もしそうなら、そんな私に関わろうとしてくる君はMなのね」
皮肉をこめてそう返す。
「そうでしょうか」
彼は考え込むふりをした。
…そして、こちら側に身体を少し、傾けた。
「…それは違うと思いますよ。先輩に冷たくされるとへこみますし、それに僕は…攻略されるより、攻略したいタイプなので」
本当に軽い男だと、私はここで確信できる。