後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第5章 カラダから始まる
第一に、こんなに長いキスをされること自体が予想外で…。
チュッ
「…ハァ‥‥ハ…‥…んっ、……んん」
クチャ....チャク..
「…や‥‥めッ」
絡む舌のざらつき。なぞられる上顎や歯列の感触。耳に届く唾液の粘り──。
不意をつかれた焦りも合わさり、理性が溶かされる。
私の手は彼の胸板を押し、ネクタイを掴んだ。
引き剥がそうとしたのだと思う。
…けれど彼は、震える私の手をネクタイごと掴み返した。
チュッ..クチャ
「…ッ…ンー……!」
「…っ…目を開けて 先輩──…ッ… ああ、もう……蕩けていますね」
「……は ぁ…!……ハァ、…ハァ……!?」
「……フ、可愛い……っ…です」
「…な…!?」
不意に、彼の唇が離れた──。
二人の間にできた隙間は、私達の表情を明かりの元に浮かび上がらせる。
私は呼吸を乱して相手を睨んだ。
なのに、ああ……どうして?
視界がこんなに掠れている。
「──…いい加減にやり過ごそうなんて、思ってましたか?」
「…ハァ‥‥ッ」
「…そんなの僕は…っ…許しませんから」
動揺のせいで目の前の顔が揺れる。
耳許で囁かれた彼の声は、私の全身に甘く響いた。