後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第5章 カラダから始まる
こんな筈じゃなかった
こんなに甘いのは…想定していなかった
「……では、始めましょうか」
何も言い返さない私を葉川くんが抱き上げる。
それほど背が高いわけじゃないくせに、軽々と。
ソファの後ろのベッドに運ばれて…
ここで部屋の電気が消されて、景色が暗闇に変わった。
服の擦れる音
ベルトを外す音
私は逃げ出したい衝動を抱えながらもそうするわけにいかず、沈黙に浮かぶそれらの音を聞きながら待つしかない。
「………っ」
そして彼の膝がベッドをきしませる。
その腕が、彼に背を向けていた私を捕らえた。
身体に巻いたタオルの合わせが乱れ、さりげなく緩められる──。
「……ハァ……っ……、ぁ…」
「………」
「…ッ……ァ……」
露になる背中に、唇が当たる。
温かい吐息が──肌を撫でる。私はその度に身体の芯を震わせた。
後ろを舌でくすぐられ…前を手でなぞられる。
触れるか離れるかの際どさで私の輪郭をたどる指先に、みっともなく息があがった。
弓なりになり、しなった腰が切ない。