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第10章 男の約束

 隼斗を理解している、女子の寺内真子は心配そうに見ていた。


「相羽くん、ケンカでもしたの?」


 無言で顔を向ける隼斗。


 ただ、真子に対して、笑みを浮かべるだけで、すぐ顔を背けた。


 隼斗にしてみれば、心配されても嬉しくはなかった。


 真子は同性愛者だ。


 ゲイの時の自分を応援してくれているようだが、自分はゲイではない。


 ゲイとして自分が見られていることに、激しい抵抗があった。


 だが、自分で自分を否定すると、どこかひっかかる。


 結局、その日は、隼斗になんの進展もないまま終わっていった。


 そして、忘れかけていた、1学期の期末試験。


 結果、隼斗は思ったほどの点が取れず、志望校にはかなり厳しい 状況になった。


 落ち込み、ため息を吐く隼斗。


 彼女どころか、支えとなった優雅もいなくなった。


 よほど、美千留といるのが、楽しいのだろう。


 やはり、彼女が出来ればそっちの方がいいに決まっている。

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