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WーWING

第10章 男の約束

『隼斗……どっちかが、先に彼女が出来たら……どうするか、約束したよな』


「ん……あぁ」


 WーWINGの約束。どちらかに彼女が出来たら、彼女に女友達を紹介してもらう。


「あぁ、それは覚えてるよ」


『じゃあ……なぜ、電話したか、わかってるよな』


「っ!!」


 まさか……と思った。


 自分には誰も付き合う者は、いないと思っていた。


「え……その話?」


『あぁ……』


 隼斗は電話を握りしめ、ガッツポーズを決めた。


 そうだ。ここはお寺だ。仏様が見てくれていたんだ。


 隼斗はそう信じた。


『それでなぁ、隼斗』


「うんっ!!」


『……やっぱ、デブで背が低いのが好きってのは、いなくてなぁ……』


「あぁ〜、そうだろうそうだろう〜、そんなん気にしなくて……えっ?」


『……』


 優雅は黙ってしまった。


「優雅……」


『……悪かった』


 優雅の声が落ちる。


 隼斗は込み上げる悔しさを、グッと堪えた。


「そうだよ……薄毛で、チビで、デブで、なんにもイケてるところがない僕に……誰も来ないよね」

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