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第10章 男の約束

 本堂の板の扉が開いた。


「おい、隼斗」


 そこから、父の雲幸が出てきた。


「父ちゃん……」


 家の真裏がすぐお寺のため、すぐ来れる。


「おい、輝基、美晴、今から隼斗と二人で話がしたいからな。お前ら二人は帰ってなさい」


 雲幸は輝基と美晴を帰らせた。


「隼斗」


 雲幸は呼ぶが、返事ひとつしない。


 そして、隼斗の真横に座った。


「隼斗、聞けよ。お前は俺の子には間違いない」


 それを聞いて、隼斗は眉をしかめる。


「はぁ? さっき、貰われたって言ったじゃないか」


「これは、俺とお前との話だ。聞いてくれるか」


 雲幸は耳元でそう言った。


「隼斗……実はな、お前の父は俺だ。だが、母親は違うんだ」


「はぁ?」


「俺の浮気によって、出来たのがお前なんだ」


「はぁ!? なんだそれっ!?」


 驚きのあまり、声を上げてしまう。


「あのな、隼斗。相手の女性も旦那がいたんだよ。だがな、お前が出来てしまってな……こっそりと出産してな……まあ、責任をもって、この子、つまりお前を、母さんに内緒で、譲り受けたってことなんだよ」

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