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WーWING

第11章 隼斗と優雅

 優雅は自分のポテトの半分を、隼斗のポテトの紙容器に突っ込んだ。


「まあ、食えよ。つまり、ゲイの真似事をして女を引き付けるWーWINGを、お互いに付き合いを続ける、本当のWーWINGにしたいってことか?」


「うん……でもさ、優雅に彼女が出来ると嬉しいと言うか、悔しい。その悔しみが優雅じゃなくて、彼女に向けたくなるんだよ。僕の優雅を取るなって……そんな感情になる」


「隼斗が求めてるのは、俺との恋か……」


 優雅はため息をついた。


 隼斗は覚悟は決めていた。


 これでダメならもういい。ダメなら、受験を頑張ろう。


 だけど……家では、自分は父の本当の子供だけど、家族の中では、引き取られた子。養子ってことになっている。


 そこだけは埋められない穴となっていた。


 そこに、ハマってほしいのが、優雅の存在。


 優雅にいてほしい。優雅がいてくれるなら、自分は受験をやめて、優雅の道に付いていこうと思う。


 邪魔にならないように。だが、そうなるためには、自分が思うだけではダメだ。優雅もゲイでいてくれなければ、両立しない。


 隼斗は諦めていた。

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