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WーWING

第3章 俺達、WーWING

 すでに朝食は用意されている。


 サラダと目玉焼きとソーセージが一本。そして、食パンと牛乳。毎日、さほどかわらない献立だ。


 輝基と美晴は並んで、先に食べている。


「あ、兄ちゃん、お先ぃ〜」


 輝基は食パンをかじり、目玉焼きの白身の部分から箸をつける。


 母、富美子が三人分のお弁当を作っている。


 一際デカい弁当箱が、隼斗の分だ。


 父の雲幸は朝早く、お寺に入った。


 隼斗は、輝基と美晴の前に座る。


「いただきます」


 二人を見ながら、食べ始める。


 美晴は1冊の文庫本を読みながら、食事をしている。


 隼斗はチラリと、富美子の方を見る。


 弁当作りに忙しそうだ。最も時間がかかっているのは、隼斗の弁当なのだが……。


「み……美晴」


 隼斗が堪り兼ねて、口を出す。


「ん? なぁに?」


「なぁにじゃなくて、食事しながら本を読まない。行儀が悪いだろ……」


「お父さん、新聞読みながら食べてるよ」


「それは、悪い見本だ。悪い方を見習ってはダメ」


 美晴は、お前はなにを見習って、そんなにブクブク丸くなったんだと、言いたげな表情で「は〜い」と返事をした。

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