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WーWING

第3章 俺達、WーWING

 本に栞をはさみ、テーブルの端に置く。


 隼斗は何気に、その本に目を向けた。


 表紙には少女マンガ風に描かれた、イケメン男性と思われる二人が、笑いながら、恋人のように密着しているイラストがある。


「なんだその本? 宝塚歌劇の男役が本当の男との恋愛しているマンガか?」


「そんなややこしい設定じゃないって。BLだよ。それにマンガじゃないの。ノベルよ、ノベル」


「ノベル? 小説か?」


 隼斗は文字だけが並ぶ小説など、読んだことがなく、それを読んでいる美晴に気後れしていた。


「ふ〜ん、そうか……偉いな……で、BLってなんだ?」


「ボーイズ、ラブってこと」と隼斗の質問に答えたのは、輝基だ。


「そう、イケメンの男性がさ、恋愛したりHしたりすんの。なんか面白いんだぁ」


 美晴が、フォークで本を指し示しながら言った。


 隼斗は苦い表情を見せた。


「ボーイズ……ラブって……ホモじゃねえか」


「ホモって言わないの。これは五人組の男性アイドルグループの二人が、他のメンバーに内緒で関係をもっちゃうって話。綺麗な同性愛なんだから、読んでるとキュンキュンする」と美晴は言い返した。

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