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WーWING

第3章 俺達、WーWING

 ボサボサの頭に青々とした髭そり跡。


 そして、笑いが込み上げるほどの不細工な顔立ち。


「あ、大丈夫です……先生ですか?」


「誰が先生だっ!! そんな、老けてねえよ」とその男は言う。


 男は隼斗の背中を、ポンと叩いた。


「なんか、辛そうに階段上がってっからよ。具合悪いんじゃないかと思ってな」


「あ……あぁ……太ってるからさ、上がるのがキツいんだよね。ははは……」


 愛想笑いで返すと、男はニタっと笑った。


「大変だな。たしか、D組の相羽だったか?」


 男は隼斗の苗字を口に出した。


「えっ!? 知ってるの?」


「三年の中で、ここまで太ってるやついないからな。そりゃ、知ってるさ」


「なんか、気ぃ悪いなぁ……」


「あはは、冗談だ気にすんな!! 俺はC組だ。羽佐間優雅ってんだ」


「羽佐間……」


 隼斗はその名前を、聞いたことがあった。


「たしか……女子が噂してた。なんか、キモいキモいって……」


「おっ!! まいったねぇ、青春のしっぺ返し!! 相羽ちゃん、なかなかやるねぇ」


 なれなれしいやつだ。

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