テキストサイズ

WーWING

第6章 ディープインパクト

 化粧品の乳液を、取りに来ただけだ。


 気まずい空気を残し、隼斗は風呂に入った。


 今の瞬間ばかりが、頭をグルグルと回り、なにも考えられない。


「どうしょう……どんな目で見られるんだろ……」


 そればかり考えてしまう。


 ここはもう、汗だけ流してさっさと出よう。


 風呂に入っても、まったくサッパリしない。


 パンツの香りを脳と鼻で覚えて、風呂で一発、抜くつもりだったが、勃起さえしない。


 なせか、頭に浮かんだのが、優雅の姿だ。


「あいつ、こんな時、どういう態度をとるのだろう?」 


 どうもしない。


 開き直ることが、優雅だ。


 隼斗は体と気が重かった。


 2階に上がるも、部屋に入る気がしない。


 美晴が、輝基になにか言っているかもしれない。


 大きく息を吸い、ゆっくりと部屋に入る。


 輝基はヘッドフォンを耳に当てながら、本を読んでいる。


 まるで、隼斗を変態扱いにして、汚れた物を見ないようにしているようだ。


 隼斗はなにも言わず、ただベッドに横になった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ