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WーWING

第6章 ディープインパクト

 すると、もう一人の男子生徒が廊下を覗いた。


「おい、羽佐間が一人で待ってるぞ〜、行かなくていいのかよ」


 優雅が待ってる!?


 心が動いた。


 だが、行けない。今は行っちゃダメだ。


 隼斗は黙って席についた。


 相手にしない。今日はもう、相手にしないんだ。


「お、寂しいのか? 連れてきてやろうか?」と河辺は、おどけながら隼斗に言う。


「大きなお世話だ!!」


 剣幕をたてて隼斗が、怒鳴る。


「おっ……なんだこいつ……ゲイのくせにムカつくな……」


 河辺は隼斗のエリをつかむ。


「離せよっ!!」


 隼斗はその手をはらう。


「なんだ、てめぇ、コラッ!!」


 河辺が、座っている隼斗につかみかかる。


「ゲイが人間に楯突くんじゃねえよ」


 河辺が拳を振り上げた。


 隼斗が目を閉じて、短い首をすぼめる。


『ゴキッ!!』


「ガァッ!!」


 鈍い音と叫び声。


「え……」


 隼斗がソッと目を開けた。


 そこにいたのは……優雅だ。


 床に河辺が頬に手を当てて、倒れている。


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