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WーWING

第6章 ディープインパクト

「優雅っ!!」


 隼斗は、姿を見て安心したのか、力が抜けた。


「おい、河辺。お前、俺のダチに文句あるのか?」


 優雅は河辺を見下ろした。


「てめぇ、ふざけんなよ」


 河辺は立ち上がり、優雅に詰め寄る。


「てめえら、ゲイが誰に拳振ってんだよ、ぉおっ!!」


「ゲイだろうが、ノーマルだろうが関係ない。同じ人間だろ。生きてんだろ。俺達がゲイだからって、お前に迷惑かけたか?」


「なにっ!!」


 河辺は睨み付けるだけで、なにも言い返せない。


「お前がゲイだゲイだと賑やかして、こいつに暴力ふるう方が、迷惑なんじゃないのか? おい、なんか言ってみろ」


「くっ……」


 教室の中で、粋がって隼斗にちょっかいをかけていたが、正論で攻めこまれては、なにも出来ない。


「お前がやってんのは、見せ付けだけの暴力。そんなもん、社会じゃ通用しませんよ」


「てめえっ!!」


 河辺がつかみかかる。だが、優雅は冷静に、河辺の喉元の下にある窪みを、親指で突いた。


「うぉえっ!!」


 河辺は喉元を押さえてのたうち回った。

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