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WーWING

第7章 二人だけ

「あっ、ちょっと待った」


 優雅は立ち上がり、一度浴室から出た。


 ほんの1〜2分ほどで、また入ってきたが、歯ブラシをくわえてきた。


「歯を磨くの?」


「あぁ、お前も磨いとけよ」


 これは絶対キスだと思った。


 浴槽のお湯も、ちょうどいい湯加減になり、二人は並んでお湯に浸かる。


 学校帰りに風呂に入る。


 こんなことは、初めてだ。


 いや、そもそも男同士でラブホテルも初めてだ。


「なぁ、隼斗」


「なに」


「今日は、とりあえず……俺はお前を愛してみるよ」


「はぁ?」


「まだ、なんとなくだが、遊び半分で、これをやってる感じに受け止められてんだよ」


「誰に?」


「うちのクラス」


 隼斗は心の中で(知らんがな)と思った。


 BL人気に乗っかって、女子の注目を浴びるためにやっている恋愛ごっこ。


 そこまで本気でやる必要は、あるのかと思った。


 優雅は、中途半端にはやりたくない性分なのだろう。


 注目を浴びるだけでなく、自分達を気になる存在にさせたい。

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