テキストサイズ

WーWING

第7章 二人だけ

 自分のことが好き?


 愛している?


 隼斗はなぜか、悪い気がしなかった。


 いや、むしろ自分も好きになっていた。


 モサモサな癖毛。青々とした髭と、モジャモジャの体毛。分厚い唇に突き出た前歯


(これは、女にモテる要素ないな)と思った。


 だが、なぜか自分は好きだ。


 男よりも女が好きなのは間違いない。


 だが、自分もこの雰囲気に呑まれたのだろうか?


 優雅のことが気になり始めた。


 隼斗の脳裏には、ふとバス停で優雅にキスをした時の様子が流れた。


「優雅……」


 違う、これは自分じゃない。


 こんな気持ちになるわけがない。


 否定はしている。だが、今は違う。


 そうか……いま、優雅も雰囲気に呑まれているのだ。


 間違いない。今なら……出来る。


 第4ステップが……。


 それは、体にも異変が来ていた。


 つくしの先のようになっていた、自分の身が、膨張し、脈うっている。


 やがて、自然と、隼斗は優雅の唇に吸い寄せられていった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ