
武橋さんのセフレを希望します。
第1章 ◇section1
セックスが好きか嫌いかと聞かれれば嫌いです。
だって気持ちよくないから。
気持ちよくなくて、むしろ痛くて、それが原因で彼氏が不機嫌になってしまって、気まずくなって別れてしまった。
「なんでそんな痛そうにするの?」
「え、そんな事言われても…わざとじゃないし」
「オレのせいってこと?」
「そういうつもりじゃっ…」
セックスなんか、セックスなんか、
「大嫌い!!!」
ジョッキを飲み干して、啖呵を切るように叫ぶ。
アルコールの苦味が脳に回ってぐらっとするけど、飲み干したい気分だった。
「ちょっと菜津。そんな一気飲みしたら辛いよ?」
「うぅ…。なんで、なんで私が怒られたのよ」
「まぁ、それは彼氏に問題ありかな?えっちとかって、相性も体調も色々関係するからね」
ぐっぐっとお酒を飲む友人をみて、私も追加でお酒を注文する。
「ちょっと、菜津はお酒弱いでしょ???」
「今は飲みたいの!」
「も~。でも、そんな男は早く忘れな」
「うん…」
健人…。好きだったのに、あんなこと言ってくるなんて…。
というか、えっちなんていいじゃん。キスとかだけでいいじゃん。いちいち服脱ぐのも面倒だし、体も辛いし…。
だめだ、忘れようとすればするほど頭の中を支配される。
私は追加できたお酒を、またもや一気に流し込んだ。
