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雪に咲く花

第5章 不幸中の出会い

「ちっ!自分でつれてきたんだろうが……」
メーク係が汚れたベッドをぶつぶつ言いながら片付け始める。
雪斗に目をやると、まだ全裸のまま小刻みに震えているのに気づいた。
「あぁ、君のこと忘れてた。とにかく今はこれを羽織っててよ。今服を取ってくるから」
脱がされた浴衣を着せるとメーク係も部屋から立ち去り、雪斗は部屋に一人残された。
「今だ!逃げなきゃ」
ようやく正気を取り戻し部屋のドアを開ける。
「大丈夫だ。誰もいない」
浴衣を羽織ったままそっと出口に向かうと、外に飛び出し走り出した。
とにかく遠くまで行かなければ……。

路地から出てしばらく行くと、小さな公園が見えた。
水飲み場で口をすすぎ水を飲む。
「寒いっ!」
顔をあげると、ちらちらと白いものが顔に当たった。
雪が降り始めていたのだ。
あわてて逃げ出してきたので、浴衣でウィッグを着けたままの状態だった。
逃げ出すことに夢中で寒さを忘れてしまっていたのだ。

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