kiss & cry
第7章 x A 完全プライベート映像
N「・・・・・・ん、?」
見慣れない天井
ぼんやりと薄暗い間接照明の中
あたりを見回す。
ここどこ?
ゆーっくり上体を起こして
状況を把握する。
ホテル?ではない。
誰かの家?寝室・・・だろうな?え?誰んち?
服は・・・よかった、着てる。
飲み会の途中からぱったりと途切れた記憶を
手繰り寄せようと、必死で考えるけど…
・・・・・ダメだ、全然思い出せない。
ベッドの上でぼんやり
どうしようかなぁ、なんて考えてると、
どこかから聞こえるシャワーの音に気づいた。
えええ、これってまさかそういう状態?
酔っ払ってお持ち帰り的な?
そうこうしているうちに
ザーッといっていたシャワーの音が止まり、
ガチャっと遠くの方でドアの開く音がした。
どうやらこの部屋の主がそろそろ登場しそうだ。
ペタペタと部屋の中を歩く音だったり、
冷蔵庫の扉が開く音だったり。
あちらこちらを行ったり来たりしながら
ようやくこの寝室の部屋の前で足音が止まった。
…-カチャ
妙に緊張して、口元まで布団をたぐり寄せた。
静かに開けられたドアの隙間から、
逆光になって現れる人影。
髪の毛をわしわしとタオルで拭くシルエットに
思わず息を飲んだ。
A「あれ?起きてたんだ?」