kiss & cry
第10章 xA not REC
N「おきて………、ね、相葉くんちついたよ?」
あの後、スルスルと夜の通りをくぐり抜け、
10分ほどで到着した相葉君のマンション。
すでにメーターを止めてもらった車内で、
タクシーの運転手さんも
なかなか起きない相葉くんに苦笑い。
N「ぁあもぅ…、すいません……」
「いゃあ〜参ったね〜…?」
俺より体の大きい相葉くんを担いで上まで、
なんてとても無理。
見かねた運転手さんが、
一緒に上まで運ぼうか?なんて言ってくれるけど
あいにく部屋の番号も分からないし……
N「 もぉー……‥っ、起きろっ!!!」
A「ぅあ''!!」
ギュッと鼻をつまんでやったら
驚きながらも目を開けた相葉くん。
A「ぅうぅ……、……え?え!!!?」
ぼんやりと目を擦りながら呻いていたと思ったら
俺の姿を認識した途端騒ぎ出したもんだから、
とりあえず混乱状態の相葉くんを引っ張って
急いでタクシーから降りた。
扉が閉まる前に、運転手さんに向けて
すみませんでした!と告げると、
ニコッと優しい笑顔をこちらに向けて
タクシーは静かに走り去っていった。
A「……ぁの、二宮くん……。」
消え入りそうな小さな声が聞こえたので
パッと振り向くと、
なんともバツの悪そうな顔がそこに。
あ、そういえば手………!
N「ごっ、ごめ……」
A「重ね重ね本当にごめんなさい!!」
俺がずっと掴みっぱなしだった腕を
解放したのと同時くらいに
ガバッと深々頭を下げた相葉くん。
A「この前のこと…ちゃんと謝ろうと思ったら
緊張しちゃって……その…、とにかく今日も含め
色々と……ご、ごめんなさい!」
まだちゃんと頭が働いてないのか、
所々詰まりながら謝り続ける相葉くん。
N「いや、あ、頭あげて?
とりあえずここだとちょっと…、」
そう、ここマンションの入り口。
時間が時間だから多くはないけど人通りもあるし…