kiss & cry
第10章 xA not REC
相葉くんもハッとした表情で顔を上げ
通りを見渡しながら頭をぽりぽり。
A「少しだけ…時間いい?」
"ちゃんと二宮くんと話したい。"
潤んだ黒曜石のような瞳が、
まるで"NOとは言わせない"とばかりに
俺をまっすぐに見つめる。
N「…うん。」
そう短く伝えれば、相葉くんは良かった、と
安心したように微笑み、
早速部屋へと歩みを進めた。
***
A「適当にそこらへん、座ってて?」
やたらと広いリビングに、
キョロキョロしてしまう。
さっすが人気男優…。稼いでんなー。
ゲイモノ専門の俺とじゃ、収入も違うんだろうなー…
A「……二宮くん、直接だった?
ごはんまだ食べてないよね?」
さっきまで撮影だったことを匂わせる聞き方に、
キュッと胸が締め付けられる。
………よりによって今日みたいに乱れたヤツ、
相葉くんには見られたくなかったなー…
N「あー…食べてないけど、、、
気にしないで?俺、夜は普段から
あんま食べないから。」
多少お腹は空いてるけど、それどころじゃないし。
会うつもりだけが相葉くんちに
いきなり上り込んじゃって、
結構これでもいっぱいいっぱいなんだから。
A「じゃ、じゃあお茶漬けとかは?
俺も酔い覚ましに食べたいし!!」
食べれなければ残してもいいから!と
そそくさとキッチンに消えて行った相葉くん。
ぽつん……
えっと…、俺何しに来たんだっけ……