Deep Night《R18版》
第7章 Tiger
「ーー賢い女だ」
鼻で笑いながら煙草を咥え部屋を出る。
従業員が冷めた目で帳を見ながら口を開く。
「623番が失礼しました」
腰を折り、深々と頭を下げた。
「いや、逆に悪かったな」
従業員の胸ポケットに数枚の紙切れを突っ込み、ムツミへの当たりが悪くならないよう口添えをする。
「これはアイツへの詫びだ」
「いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。次回はご期待に応えられるよう努めます」
「あぁ」
「お気をつけて」
ドアの前で見送る従業員の視線を背に、紫煙を揺らしながら笑う。
「ーーお前もな」