Deep Night《R18版》
第7章 Tiger
――昨日のことのように、鮮明に残された記憶を思い出す。
帳には5つ下の妹が居た。
居た、というよりも出来たという方がしっくりくる。
10歳の頃に母親が連れ後同士の再婚をした。
比較的貧乏でもなく、普通に生活出来るくらいの稼ぎはあった。
円満家族だった。
それなりに戸惑いはあったが5歳の妹は可愛く、自分の後ろを追っかけて付いてくるのが帳は嬉しかった。
「お兄ちゃん」と屈託のない笑みでいつも一緒に居た。
この手で大事にすると、妹を泣かせたヤツは片っ端からぶん殴ってきたくらいに溺愛していた。
周りにシスコンだって言われても恥ずかしくもなかった。
妹を溺愛していたことを自覚していた。