Deep Night《R18版》
第8章 ミヨコ
ーーお客に飴玉を貰った。
それがミヨコにとってすごく嬉しかった。
だからまだ食べずに取っておこうと、飴玉を大事に握り締めた。
何かを貰うということが、こんなに嬉しいなんてことは此処に来なければ思わなかった。
部屋を出ると従業員に別室に案内された。
見たことも無い部屋で、病院を連想させるような室内にミヨコは嫌な予感がした。
「あの客は警察か?」
大きなホッチキスのような機械を持って近付く従業員にミヨコは首を横に振る。
「答えろ」
「違う」
「聞き方を変える。あの客は警察だと思うか?」
「思わない」
「そうか」
分かった、と頷いてミヨコを椅子に座らせる従業員は手に持つ機械を近付ける。
「喋りすぎなんだよお前は」
「何も話してない」
「今警察に入られんと困るんだよ」
「そんなの知らない」
「どうせ俺が話したところでお前は言えねぇけどな」
「なに……っ」
控えていた他の男がミヨコの顔を抑えるようにして唇を摘む。