Deep Night《R18版》
第8章 ミヨコ
「ミヨコ、アンタこれからお客取らせてもらえないの?」
ムツミが心配そうに聞いてきて、その膝を枕にニーナがスヤスヤと眠る。
母親のように優しく頭を撫でていた。
首を縦に振るか横に振るか迷ったミヨコはあの男が来れば、と期待を籠めて横に振った。
「そう、ならいいんだけど」
ホッと息を吐き眠るニーナの横顔を見つめる。
ムツミに伝えたら助けてもらえるだろうか?
いや、ネェさんのように周到に計画を練らなければ無理だ。
明日かもしれない処分に間に合うわけがない。
どうにかしてムツミに自分の意思を伝え、あの客に付いて貰うかが最善だろう。
トントン、とムツミの腕を指先で叩く。
「ん?どうした?」
手の平を取ってそこに文字を書く。
“あたしのお客さん、警察だった”
読み解くまでに何度も同じことを書いた。
ムツミは飽きることなく真剣にミヨコの指先を目で追ってくれる。
「それマジ?」
“本当、助けてもらえるかも”
“もしかしたら仲間も来てるかもしれない”
“質問する人には全部答えてあげて”
「……分かったよ」