Deep Night《R18版》
第8章 ミヨコ
ムツミの元へ行くニーナの背中を、ただただジッと見ていた。
パックリと切り抜かれたワンピースの背中にあるーーソレ。
状況を把握したムツミは涙を浮かべて微笑みを向ける。
「ニーナはあたしの天使だね」
(嘘だ……そんな風に見えない)
「ニーナ、泣かないで。大丈夫だから」
(だって、それ……あまりに酷すぎるじゃない)
そっと腕を回したムツミは、背中を隠すようにシーツでニーナを包み込む。
抉られた肉から滲み出し、ガリガリになった背中の骨を隠す肉はなく剥き出しになった肩の骨。
人間のやることじゃない。
こんな痛みでも生きようとしてるニーナにいっそのこと殺してあげて、と切に願う。
(死ぬ事が救いなんかじゃない。
誰かがニーナを殺してあげなきゃいけないんだ)