Deep Night《R18版》
第3章 OneMonth
――……帳
一瞬ニーナに呼ばれた気がして振り返った。
そんなわけねぇか、と振り返った身体を戻して車に乗り込む。
窓を開けて室内に籠もった煙草の匂いを外に追い出すとフロントガラス越しに見えた男女に目を向けた。
人目につかない路地裏。
男物のコートを身に纏った女が嬉々として隣に居る男の腕に絡み付く。
「やっと解放されたわ」
「あの子には悪いことをしたな」
「いいのよ、あの子バカだから」
クスクスと笑いながら走り去るその後姿は何故か哀れに見えた。