Deep Night《R18版》
第3章 OneMonth
「悪い、待たせたな」
待ち合わせた時間よりも遅れて来た男は運転席に座っていた帳に声を掛けた。
「収穫は?」
そのまま回って助手席に乗り込んできた男に視線を向け手元の資料を受け取る。
「ここら一帯は貧困街の寄せ集めだ。お前が行ってたところは一番最悪の場所だよ」
「……お前んとこは?」
「俺のところは富裕層向けだった。その分酷い扱いされっけど待遇はまぁ、悪くねぇ方だな」
「…へぇ」
「それでも臓器売買まで手を出してきてるから迷惑な話だな。お前んとこは孕んだ女に産ませてガキ売ってるからタチが悪い」
「で、いつ乗り込む?」
「あと1ヶ月は必要だ」
「……分かった」
ニーナとの約束が延びるな、と一瞬だけ申し訳なく思ったがそれでもこの先にある自由を手に入れられるのなら、少しの辛抱で済む話だった。
待てと我慢が出来れば褒美は何でもくれてやるつもりの帳は哀れな少女に妙な正義感を覚えていた。
そんな帳に「頑張れよ」と助手席に座る男が肩を叩いた。